• AH調査報告
  • 2022/08/01

アキュラホーム・日本女子大学 共同研究
ライフステージによる間取りの変化と、コロナ禍の住環境実態
「入居後 5-10 年の戸建て住宅調査」について

アキュラホームの社内研究所である住生活研究所(東京都新宿区)と、住居学・生活学の視点で研究を行う日本女子大学 定行研究室(東京都文京区)は、2019 年 8 月に共同研究契約書を締結し、入居後の住まい方についての共同研究を実施いたしました。
2011 年または 2016 年にアキュラホームで建築いただいた 1,716 組の居住者を対象に、住宅内の空間の使い方について、またコロナ禍の暮らしの変化について共同で調査を実施した結果、入居者のライフステージによる利用形態の変化とウィズコロナ時代に必要とされる住空間の機能について明らかになりましたので、報告いたします。


LDK は子供が小学生までは「子供を見守り、家族が共に過ごす場」という結果に

LDK の過ごし方として、末子が小学生(4-6 年)までの世帯は「おもちゃ等で遊ぶ」、「絵本、本を読む」、「勉強をする」などが多く、妻の在宅勤務の場所としても「ダイニングテーブル」「ダイニングやリビングの一角」とする割合が多い。このことから LDK は子どもの見守りや共に過ごす場としての用途で用いられていることがわかる。一方、中高生以降は、「スマートフォン等の操作」「新聞、雑誌を読む」「昼寝をする」など個人がリラックスする用途で用いられることがわかる。

LDKの過ごし方

子供部屋は中学生以降、「集中して作業する場」に 在宅勤務環境では夫が個室・妻が LDKの傾向

子ども部屋の利用形態として、各世帯の子供一人ひとりについて聞いたところ、小学生(4-6 年生)までは、「就寝する、昼寝する」の割合が低く、「おもちゃやゲーム等で遊ぶ」割合が高い。中高生以降は「仕事・勉強をする」、「スマートフォン等の操作」、「授業を受ける・会議に参加する」など集中して行う作業などで使用される。また、在宅勤務を行う場所は、夫は個室、妻はダイニングテーブル(LDK)という傾向が明らかになった。

子供部屋の過ごし方
夫婦の在宅勤務の場所

“大きい部屋を2つに仕切る“という計画は、実施した方が 2 割以下という結果に

新築の設計では個室の分割や統合など、ライフステージにあわせ間取りの変更を可能にする場合がある。個室数の変更計画の有無や、実施状況について確認したところ、新築段階で計画をしていても実施した方は約1〜2割に留まり、部屋数変更を実施していない人が多い。当初分割を予定していた方の中には、子どもが出ていったあとのことを考え、壁で仕切らず、アコーディオンカーテンなどの家具で空間を分割し、利用している場合などがある。一方、部屋の分割を実施した方の傾向をみると、2011 年に建築した方は子供が中学生に上がる前後で実施している傾向が見られる。2016 年に建築した方は中学生以降で分割している。いずれも前項の「集中して作業する場」としての個室が必要となる時期に実施されている。

個室数変更計画の実施状況
(2011年建築)部屋分割計画の部屋数変更状況について
(2016年建築)部屋分割計画の部屋数変更状況について

子ども部屋は小学校から高校まで、8〜9 割の高水準で利用

子どもがいる世帯では、子どもが未就学児でも約 7 割の世帯が子ども部屋を設けており、小学校入学から高校卒業までの世帯では約 9 割が設置していると回答した。

子ども部屋の有無(末子年代別)

戸建て住宅ではコロナ禍において、音の問題などから、屋外も仕事に集中できる空間に

コロナ禍において在宅勤務を経験する人が増え、良質な在宅勤務環境を確保するため、お施主様が取り組んでいることがアンケートによって明らかになった。どの年代の子どもを有していても、最も多かった回答は「集中するために一人だけの空間を確保する」というもの。子どもが小さいうちは LDK などで子どもを見守りながら在宅勤務を実施する方が多かったが、WEB 会議などもあり、一人だけの空間を確保するニーズは高い。また「快適に作業ができるように温度や湿度、風通しを調整する」や「生活音が聞こえないようにドアや窓を閉める」などのニーズも高い。感染拡大前後の屋外空間における利用形態の変化をみると、庇の有無にかかわらず、仕事のために利用する人の割合が増加した。屋内空間のみならず、屋外空間についても、仕事や気分転換、子どもが非日常を体験できる空間設計が求められる。

在宅勤務に実施している環境整備について
感染拡大前後の屋外空間における利用形態の変化

共同研究の結果考察

■日本女子大学 定行研究室

住宅の最も大切な使命は小さな子どもから高齢者までが安全に安心して住まい続けられることではないでしょうか。子どもの成長や家族構成の変化、加齢による身体機能の低下、そして社会情勢に柔軟に対応できる住宅が求められるといえるでしょう。
戸建住宅を建築する半数は親が 3,40 代、子どもは小学生以下の子育て期となり、子どもの成長による住まい方変化への対応は直近の課題となり計画に反映しやすいといえますが、子どもが巣立った後の生活や、身体機能の低下への対応も視野に入れ、長期居住を可能にする住まいが今、求められています。さらに本調査ではコロナウイルス感染拡大から2年目の時期に調査を実施し、戸建住宅ならではである半屋外空間や、屋外空間の活用が明らかとなりました。
屋内外共に、住宅の使い方を固定せず、余白の残し、社会情勢や家族関係の変化に合わせ、居住者が自由に活用できる空間を持ち合わせる住宅が、今後、求められるのではないでしょうか。

■アキュラホーム 住生活研究所

当研究所では豊かな暮らしを提供するアキュラホームの社内研究所として、時代の変化やお客様のニーズを捉え、的確に対応すべく研究開発を行ってまいりました。
今回は、世帯構成別、また近年のコロナ禍における各部屋の使用用途について、詳細に調査を行いました。コロナ禍による在宅時間の増加を受け、音の問題から屋外空間の有効活用がなされていること、男女で異なる在宅勤務場所などがデータにより明らかになりました。
また、当社が積極的に提案しているスケルトンインフィルについては、子どもの成長に合わせて部屋を仕切るという計画を新築当初に 22%の家庭が採用しており、それを実施した人が内2割以下であることから、予算、難易度、時間などがお客様にとっては不透明で、ハードルが高いこともわかりました。今回は、入居後 5 年、10 年での調査結果ですが、今後も引き続き調査を続け、利用状況の経年的変化を把握し、使い勝手も向上させていきたいと考えます。
今回の調査では、住まいを提案するものとして、変わりゆく家族の暮らしを見据え、家族とともに家も育てられるよう、入居後のフォロー体制やリフォーム事業の重要性も再確認いたしました。今後も、住まいを永く快適に使い続けて頂くために、お施主様とコミュニケーションをはかりながら、建てて終わりではなく、お客様と寄り添って家を守っていく「永代家守り」の精神で住まいづくりを続けてまいります。


【回答者属性】n=1712
性別/年代

回答者の性別・回答者の年代

年代別家族構成

回答者の年代別家族構成

未子学齢別の回答者年代

末子学齢別の回答者年代

「戸建住宅の住まい方アンケート調査」調査結果報告(全項目の集計結果)

N=1,712

1.アンケートの概要

「戸建住宅の住まい方アンケート調査」は、アキュラホームで住宅を建てていただいた、建築後5年目、および10年目の全てのオーナー様を対象とし、現在の住まい方や、住宅に関する評価をお聞きしたものです。

1)アンケート調査項目

 ① 住宅と入居者について
 ② 居室の計画・過ごし方について
 ③ 新型コロナウイルス感染拡大の生活への影響について
 ④ 住宅に対する評価について
 ⑤ 回答者・配偶者の就業形態ついて

2)関係団体:日本女子大学、アキュラホーム

3)調査対象:アキュラホームで住宅を建設した入居者様 2,525件

4)回収時期:2021年9月〜11月

5)調査回収結果:1,712件

- 回答者属性 -

- 建物概要 -

2.アンケート結果

1)住宅と入居者について

2)居室の計画・過ごし方について

①居室の計画

②過ごし方

3)新型コロナウイルス感染拡大の生活への影響について

①屋外空間の使い方の変化

②住宅内での仕事

③ウイルスに対する工夫

④住宅内で行ったことで良かったこと

4)住宅に対する評価について

①室内の暑さ・寒さ

②気に入っているところ

③手を加えたい、もっとこうするべきだったと思うところ

④満足度

5)就業形態

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