- 3住み研究会
- 2016/06/28
第1回『変わる家族と住まい』開催報告
これからのひとり住まい
株式会社風 代表取締役 大久保委員
ひとり住まいの良い点・困る点を挙げ、「自分の住まいを自由に使いつつ、会いたい時に会える親しい人、いざという時に助け合える人が居るような、ゆるやかな共同体をつくる場として自分の住まいを生かしていくことが一つの考えになる。」と述べました。
また、これからのひとり住まいは個人の創造にかかっているため個性的で様々あり、つくり手に求められるのは、個人の暮らしに対する欲求を洞察する力と、好きなものや趣味に囲まれて暮らしたいという欲求を叶える遊び心が重要であると結論付けました。
住まい方はどうなるか
明治大学教授 園田委員
20世紀は居住者に合わせて家をつくるかたつむり型を提供してきたが、これからは住者が生活に合わせて住まいを変えていくといった、やどかり型の住み方が出てくると考察。一方、「日本にはまだ魅力的なやどかり型(住み替え型)の住まいがない。」と述べました。
また、子育て期よりも、成熟期・引退期・老後期には多様な住まいの選択肢があると言え、住まい手は、どういう暮らしをするのか、住まいの提供側は、多様な選択肢に如何に答えるのかが重要であると結論付けました。
京都の高齢者はなぜ美しいか!
日本ぐらし株式会社代表取締役 野間委員
京都の高齢者にスポットをあて、「京都の高齢者がいきいきとして美しい理由は、ハレとケによる年間の心理的リズム、多様な世代によって支えられ、多様な世代を必要としている町、自分の中で自己創造的な遊び心がある、これら3つに起因している。」と述べました。
また、高齢者にとって一番大切なものは、生きる喜び、生きがい、社会的な役割があること、自分が必要とされていることである。近年、日本社会が効率と引き換えに失って来たものの中に、とても大切なものがあると感じたと結論付けました。
パネルディスカッション
「変わる家族と住まい」
「住まい手自身が多くの情報を持ち、供給者側も成熟した住まい手に選択肢を拡げていくことが重要な課題。」(檜谷委員)。「リノベーションやリフォーム産業の育成、住宅の評価方法の見直し、固定資産税等の問題を考えていかないとでは。」(山本委員)。「高齢者で地域おこし事業会社のようなものをつくり、共同的な資産価値から個人の資産価値にできるようにするのが課題。」(園田委員)。「ランニングコストや収納の考え方などを見直し、高齢者にとってマイナスではない家を考えいかないとでは。」(野間委員)。「長期間高齢者が暮らす為に住まいを改善する場合、老いとはどういうものか真正面から探求することが大事。」(大久保委員)。
最後に髙田委員長が「高齢化が進行したり一人暮らしが多くなったりする中で、人とまちがもっとダイレクトにつながって人と人との関係、他者との関係を考えていかなければならない」と結びました。
明治大学教授 園田 眞理子委員 / 日本ぐらし株式会社代表取締役 野間 光輪子委員
京都府立大学大学院教授 檜谷 美恵子委員 / 東京大学大学院助教 山本 理奈委員